D  世界ソーシャル・ポリシーの創出

私の結論の一つは,自然科学と工業技術の発達と,それに注ぐエネルギーに比べて,社会科学(と言って悪ければその中の政策学)のそれははるかに遅れているということである.したがって自然科学の発達にみあう程の衆知とエネルギーを注ぐ必要があるということである. 私の発想は単純である.20世紀に「福祉国家」において成功したように,21世紀 にはっきりと目標を定めて世界ソーシャル・ポリシーを皆で発明すれば,福祉世界の達成も夢ではないということである. ソーシャル・ポリシーとは何か.ソーシャル・ポリシーとは福祉国家達成の道具であった.例えば年金・医療・福祉を含む社会保障制度,完全雇用政策,再分配政策, などである.   ソーシャル・ポリシーの2つの前提は次ぎのようなものである.
a 人間性を善と悪との二面性を持ったものとして捉える.人間の本性は利己の塊りという人間観はは取らない.
b したがって自然主義でなく理想主義の立場を取る.

 

  学としての帰結は知への信頼でなければならない.高度の総合知への期待である.